賃上げ不要の助成金、外国人労働者就労環境整備助成コースとは
- アルエ社会保険労務士事務所代表

- 5 日前
- 読了時間: 5分
アルエ社会保険労務士事務所の石井です。
日々の業務に追われるうちに、気づけばブログの更新がすっかり空いてしまいました。
今回は久しぶりの更新になります。
経営者様から、こんなご相談をいただくことがよくあります。
「助成金って、結局は賃上げしないともらえないんですよね?」
実は、賃上げを受給要件としない助成金があります。
| 🌏 賃上げがなくても対象になる助成金があります
それが今回ご紹介する「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」です。
賃上げを要件とする助成金も確かに存在しますが、このコースはそこに含まれません。 「今すぐ賃上げする余力はないけれど、外国人材が安心して働ける環境は整えたい」という会社様にこそ使っていただきたい制度です。
| 💡 そもそも、どんな助成金なのか
外国人労働者は、日本の労働法制や雇用慣行への理解不足、言語の壁などから、労働条件や解雇をめぐるトラブルに巻き込まれやすい面があります。
この助成金は、そうした外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備に取り組み、職場定着を進める事業主を支援する制度です。
特定技能や技能実習生を受け入れている企業様はもちろん、技術・人文知識・国際業務などで外国人材を採用している企業様も対象になります。
| 📋 受給要件の整理
受給要件を整理すると、大きく次の3つです。
外国人労働者を雇用している事業主であること
認定を受けた「就労環境整備計画」に基づき、就労環境整備措置を新たに導入・実施すること(後述の①②は必須、③〜⑤から1つ以上を選択)
計画期間終了後の一定期間における外国人労働者の離職率が15%以下であること
賃金を引き上げたかどうかは、受給要件に入っていません。
就業規則の多言語化や相談体制の整備など、費用と手間をかけて取り組んだこと自体が評価される助成金だとイメージしていただくとわかりやすいと思います。
| ✅ 対象となる5つの措置
導入・実施する措置は次の5つです。①②は必須、③〜⑤から1つ以上を選ぶ形になります。
①雇用労務責任者の選任(事業所ごとに選任し、外国人労働者に周知したうえで1回以上
面談)
②就業規則の多言語化
③苦情・相談体制の整備
④一時帰国のための休暇制度の整備
⑤社内マニュアル・標識類等の多言語化
支給額は、1つの措置を導入するごとに20万円、上限80万円です。通訳費、翻訳料、翻訳機器の導入費、社労士や弁護士への委託料なども対象経費に含まれます。
一点だけ、実務でよくご相談をいただく点に触れておきます。
②の「就業規則の多言語化」は、あくまですでにある日本語の就業規則を多言語化する措置です。
就業規則自体が整っていない会社様の場合、まずそちらの作成から始める必要があり、この助成金の対象経費(多言語化費用)とは別に、就業規則作成そのものの費用が発生します。
「助成金があるなら就業規則からまとめて作ってもらえないか」というお問い合わせも少なくありませんが、その場合は多言語化とは別に、就業規則作成分としてあらためてお見積りする形になりますので、あらかじめご了承ください。
| ⏱ 受給までの期間、実は短縮できます
この助成金、「支給申請までにかなり時間がかかる」というイメージを持たれがちです。原則の流れでは、就労環境整備措置を実施したあとに半年間の「離職率算定期間」を置き、その離職率を確認してからようやく支給申請、という流れになるためです。措置の導入から実際の受給まで、1年前後かかることも珍しくありません。
ここで効いてくるのが、外国人労働者雇用労務責任者講習の受講です。
雇用労務責任者にこの講習を受講させたうえで、就労環境整備措置の実施日の前日から起算して6か月前までの間に外国人労働者を解雇等していない場合、通常の6か月間の離職率算定期間を待たずに、措置の実施日の翌日から2か月以内に支給申請できるという早期受給の仕組みがあります。
せっかく制度を使うなら、雇用労務責任者の選任と合わせて、この講習の受講もセットで検討することをおすすめしています。
| 🔍 申請の流れ
就労環境整備計画を作成し、労働局・ハローワークへ提出、認定を受ける
認定計画に基づき、就労環境整備措置を導入・実施する
(講習受講なしの場合)実施後の離職率算定期間を経て、(講習受講ありの場合)実施日の翌日から2か月以内に支給申請する
審査を経て助成金が支給される
計画の認定を受けてから措置を実施する必要があるため、「もう就業規則の多言語化を済ませてしまった」という場合は対象外になってしまいます。申請は必ず、実際に取り組みを始める前に動き出す、これが鉄則です。
| 🤝 まとめ
賃上げは受給要件に含まれていない
1つの措置につき20万円、最大80万円
雇用労務責任者講習を受講しておけば、受給までの期間を短縮できる
計画の認定を受ける前に措置を実施すると対象外になる
外国人材の受け入れを進める企業様にとって、就業規則の多言語化や相談体制の整備は、助成金の有無にかかわらずいずれ取り組む価値のあるテーマです。
どうせ取り組むなら、使える制度は使って進めていただきたいと思います。
計画書の作成や必要書類の準備、講習受講のタイミングの調整、就業規則の見直しなど、実務面で気になる点がありましたら、アルエ社会保険労務士事務所までお気軽にご相談ください。
初回のオンライン相談は無料で承っております。
※本記事の内容は執筆時点の制度に基づいています。最新の要件・様式は厚生労働省の公式ページでご確認ください。

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